輝け議会‼ 対話による地方議会活性化フォーラム勉強会 in 大野城市 2025年5月27日 大野城市こころのふるさと館
北海道鷹栖町議会議員の青野さんをゲストにお招きしての広報・広聴に関する勉強会でしたが、改めて広報・広聴は議会活動の根幹となることを再認識させられた勉強会になったと思います。
青野さん、遠方からありがとうございました。また、今回受け皿となっていただいた福岡県大野城市議会議員の山上さん、鹿児島県姶良市議会議員の岩下さん、大変お世話になりました。
いつものように雑感とまとめを少々。詳細は下記AIまとめをご参照ください。
先の統一地方選で「議会への無関心」「なり手不足」が大きく問題視されましたが、主な要因としては何か?
1、「議会は何をやっているのかよく分からない」⇒「議会活動の見える化」
2、「住民の意見の反映をもっとして欲しい」⇒「広聴活動の充実」
3、「議会が私たちの暮らしや生活に役立っているのか分からない」⇒「(活動によっての)成果の見える化」
これら3点に尽きます。
最近では、住民へ意見を聞くことに紙面を割く議会だよりも増えてきています。
大野城市の会場では、福岡県大刀洗町議会の広報委員会委員長の平山さんが参加されていたので、折角の機会ですので話をしてもらいました。全国町村議会議長会が主催する第39回広報コンクールで、たちあらい議会だより183号が第1位(最優秀賞)を受賞しています。
その表紙には、「みなさんの声を生かすために」と大見出しが出ています。中を見ると、「300件の声 只今調査中です」と議会運営について、交通、災害などについて、主な住民からの声を紹介しています。また、予算審議に関して、「ギカイの視点」と議会としての考えを述べており、条例や町が出資している団体の経営状況の分析から引き続き出資するのかの採決も、どの議員が賛成か反対か明記しています。
是非見られてみてください。
さて、鷹栖町議会のかの有名な中吊り週刊誌チラシ風の広報についてですが、これは滅茶苦茶インパクトがあり、傍聴者が急増、結果として先の統一地方選で、目的だった無投票の回避につながっています。
私が初めて鷹栖町議会の広報を知ったのは、オンライン勉強会のテーマ決めをしている時に当時宮崎県延岡市議会事務局職員の伊東さんから提案があったからで、紹介された時とてもショッキングでした。「議会広報における革命だ~」と思わず叫んでいました。
同時に、他の議会でこれはやれるのか?そもそも鷹栖町議会内でよく許容できたなと思ったもんでした。その疑問は、ゲスト依頼を作成者の片山さんにしたところ、青野さんと一緒に発表しますとの返事があり、調べてみると当時6期目の議員で議長を2回経験しているいわば鷹栖町議会の重鎮議員((笑)という事が分かり、なるほど、このチラシは片山さんというユニークな存在と青野さんという重鎮議員の理解あってのことと、すぐさま理解しました。
青野さんは「せめて邪魔にならないように」と言うのですが、青野さんはいつも熱心に勉強され、鷹栖町議会をより良い議会になるよう献身的に努力されています。本当に頭が下がります。
さて、鷹栖町のここ1年の取り組みですが、入り口としての広報戦略から議会としての政策サイクルへと進展しています。
一般質問ですが、ご存知のように傍聴者から評価を受ける取り組み(これも広聴の一つ)に加え、終了後に議会で内容について話し合い、各委員会で再検討できるものは落とし込み、改めて調査をし政策提言していく仕組みと、「語ろう会」も定期的に行っていてそこから出された意見を一般質問や各委員会へと繋げ、議会としての政策サイクルを構築しようとしています。
小中学生向け議会だよりの発行や、高校生とのコラボによるチラシ制作など、若者の視点を取り入れた議会だより作成も行っています。
青野さんはネットでの住民との交流空間創りにも積極的に取り組みたいそうです。更なる躍進が期待されますね。
滋賀県大津市議会の広報の目的から引用すると、「住民と議会をつなぐ」に尽きると思います。だとすると、広聴をしていない(余り重視していない)議会の広報誌は議会内でのことしか書けないので、議会からの一方的な広報になる。
だから、多くの読者(読まれた住民)から「つまらない」と言われるのでは。多くの議会報告会や議会だよりには結果しか言及がなく、大刀洗町議会のように「ギカイの視点」結果に至るまでの「論点」や「争点」は何だったのかの言及がありません。それなら「「行政報告」の方がより詳しい」との批判があって当然です。
もっと言えば、「論点」や「争点」を議会がまとめた上で、議会での結論を出す前に、住民との意見交換を行い、結論を導くことをすれば、住民は結果に対してより納得すると思います。
栗山町議会基本条例の前文には、「自由かっ達な討議をとおして、これら論点、争点を発見、公開する ことは討論の広場である議会の第一の使命である。」と明記されています。
広聴に関してですが、目的は明確で、1、決算ー予算の審査に、2、政策提言に、3,議会広報や運営・改革に、住民の声を反映することだと思います。
2に関してはそういう議会は増えていますが、1と3については、まだまだそんなに多くはないのでは。
1に関しては、大規模や重要な事業について「参考人」という形で、住民から関係者、専門家(住民の中にいる場合もある)に聞くことができるし、3に関しては、議会モニターという形で、公募して住民から意見を聞くことが可能です。
2に関しては、九州でも最近学生を対象に(小学校から大学まで)主権者教育を進めている議会は増えましたが、一歩進んで、彼らからも彼らと関係しそうなテーマで意見交換して、政策提言に結び付けていったりすることも。行政では北海道ニセコ町が「子ども議会」として、小学生高学年~高校3年生(定員10人のところ応募多数)と一緒に政策立案、予算化し、事業も彼らが行ったり、愛知県新城市では「高校生議会」という取り組みがあり、年間1千万もの事業費が充てられています。これらを議会としても進めてもらいたいものです。
最後に、最近では広報・広聴委員会と広報と広聴が一体となって取り組む議会は増えていますが、広聴・広報委員会と広聴を最初に持ってくると、広報の目的も明確になります。繰り返し言いますが、「広聴・広報は、議会活動の根幹」です。ぜひ力を入れてください。
輝け議会‼︎どうしたら有効な広報公聴が創れるのか?2025-05-27 13:02:32
(神吉氏からの問題提起)
議会広報の現状と課題認識
住民の議会に対するイメージと関心
多くの住民にとって、議員がいつ仕事をしているのか、年4回の定例会以外に何をしているのかが不透明。議会が政策決定にどう関与しているか、議論が政策改善に繋がっているかも理解されにくい。
議会広報誌の読者層と課題
議会広報誌は特定の住民層にしか読まれていない傾向。内容がつまらない、手に入りにくいとの意見も。多くの議会で広報誌は市報(広報紙)と同時に配布されている。
「見える化」の必要性
議会活動の「見える化」と「成果の見える化」が不可欠。住民が議会の役割を理解し、活動に関心を持つためには、何が行われ、どのような成果があったのかを具体的に示す必要がある。
(青野さんからの報告)
鷹栖町議会の広報広聴戦略
基本方針と目標
無投票回避と傍聴者増加*: 3期連続無投票の危機感から、住民の議会への無関心を課題と分析。
住民の関心を惹くサイクル確立 議会に興味を持つ→議会への理解を深める→議会へ参加する、というサイクルを任期中の活動方針とした。
具体的な取り組み事例
チラシ戦略 インパクト重視で各議会の争点を明確に伝達。
予算審議: 予算大怪獣を怪獣映画風に表現。
決算額: 事業目的と合わせ仮面ライダー風に表現。
デジタル活用(SNS・動画)*
Twitter: 活動報告や議会進行状況をリアルタイム発信。
動画: 議会紹介や活動報告、一般質問内容を質問議員が語る動画を公開。動画制作も議員が担当。
広報誌「議会だより」 議員主導の編集体制へ移行。
2015年: 議会報特別委員会から広報広聴常任委員会へ。事務局主導から議員担当部分を拡大。
2018年: 全ページを議員中心で作成できる体制を確立。
「議会傍聴ガイダンス」Q&A方式の小冊子。表紙を学習帳風にし親しみやすさを演出。2020年発行。
「通信簿」 一般質問を傍聴者が5段階評価。
評価項目: テーマ設定、聞き取りやすさ、説得力、追求力、共感度。コメント欄も設置。
効果: 議員のモチベーション向上、意見交換のきっかけ、議会報に平均点やコメントを掲載。
住民との懇談会 議会報発行に合わせて開催。トランプや棒倒しなどのゲームでリラックスした雰囲気を作り、話しやすさを重視。
中吊り広告*:
きっかけ: 片山議員の提案と具体的なゲラ作成。構想段階でなく具体案として提示。
当初の反応: 議会内では反対多数。外部からは叱咤激励、多くの意見が寄せられた。
継続の背景: 14年間無投票(1人を除き選挙経験なし)という危機感の共有。
-休日議会 2016年から年1回開催。土曜日に一般質問を実施。
成果と今後の展望
16年ぶりの投票による選挙実現 2023年4月の統一地方選挙で定数12に対し14名が立候補。
投票率 64%。16年前の選挙では約90%であり、26%低下。住民の議会に対する関心や見方の変化。
新人議員への影響 チラシなどがきっかけで議会に興味を持ち立候補した新人議員も。
今後の目標 広報と広聴が議会全体で循環する仕組みづくりを試行錯誤中。
具体策*:
広報広聴常任委員会の活動充実。
各委員会による所管課題に関する広報公聴活動の実施。
委員会間の情報交換と行政との連携。
住民の関心の高い質問に関する調査研究(例: ゴミ処理問題では、処理場体験、懇談会、環境審議会との意見交換を経て一般質問へ)。
小中学生向け議会だよりの発行(2023年初)。議会の流れや予算について分かりやすく解説。
高校生とのコラボによるチラシ制作。若者の視点を取り入れる。
(大刀洗町議会の広報戦略(平山氏))
議会だよりコンクール全国1位の背景
受賞号: 33号。デザイン性よりも議会活動そのものの内容が評価された。
コンクール評価基準: 紙面の見た目だけでなく、議会活動の質が厳しく問われる。
住民との対話と政策サイクル
合併問題否決後、単独での町政運営を機に議会改革に着手。
議会基本条例制定(2006年)住民とのチャンネル不足を解消するため、報告会・意見交換会・議会モニター制度などを規定。
政策サイクル 住民からの意見聴取→調査・研究(3ヶ月)→政策提言(9月)→予算要求(3月)→実現度検証→次期報告会で住民へフィードバック、というサイクルを確立。
議会だより作成のポイント
編集体制 議員が一貫して企画から編集まで担当。事務局の負担軽減。
表現 行政的な言い回しを避け、住民に分かりやすい平易な言葉遣いを徹底。
正確性 一般質問の要約などは議事録該当箇所を下線で示し、正確性を担保。60分の発言を600字に要約する技術。
特集記事 議会改革の進捗、政策サイクルの成果(報告会の意見がどう反映されたか)などを掲載。
デザイン 専門家不在のため手書きラフ案で印刷業者に依頼。矢印を多用し視線誘導を工夫。
成果と今後の課題
読者の増加とともにお叱りの声も増加。住民の関心が高まっている。
課題: 議員の作業負担増。今後の継続のため分担体制やマニュアル作成、ウェブ・動画等との連携強化が必要。
小規模自治体(人口約1万5千人)だからこそ、住民との密な対話を通じた住民自治が体現しやすい。
広報広聴活動の一般論と多様な事例(神吉氏)
議会広報の一般的な課題
特定の住民層にしか読まれていない。
内容が行政報告のようになり、住民にとって面白みに欠ける。
議決に至るまでのプロセスが見えず、結果報告に終始しがち。
住民が議会に求めるもの
自分たちの意見が議会活動に反映されること(61%)。
議会活動の透明性。
「見える化」の重要性
議会活動のプロセス(論点・争点)と、その結果どうなったのかを可視化することが重要。
栗山町議会基本条例(前文)議決結果だけでなく、そこに至る過程、論点・争点を明らかにすることが議会の仕事。
広報と広聴の連携
大津市議会の定義: 広報と広聴は住民自治を実現するための根幹。説明責任を果たす手段。
広聴で得た意見を広報に繋げる、双方向のコミュニケーションが不可欠。
多様な広報媒体と配布場所
紙媒体の配布場所 スーパー、コンビニ(西原村の例)、郵便局、銀行、病院、公衆浴場など住民が手に取りやすい場所に設置。
ウェブサイトの活用 宮崎市議会「マチダン」。市民が意見を書き込め、情報共有が可能なプラットフォーム(民間企業と共同開発)。
議場における工夫
傍聴者に分かりやすい議事進行。
AIによる議事録要約システムの導入検討。
広聴活動の多様な形態
議案審査における参考人招致 長崎市議会では大型施設整備予算審査に専門家や住民を参考人として招致。
陳情・請願の取り扱い 島根県浜田市議会ではオンライン申請受付や、陳情も請願と同様に審査する体制を整備。
政策サイクルへの住民意見反映 会津若松市議会では市民との意見交換会を政策サイクルに組み込み、課題設定から政策提言まで実施。
住民との対話会 兵庫県西脇市議会はコロナ禍でもオンライン等を活用し40回以上の対話会を実施、市の予算化に繋げた。
オンライン報告会・意見交換会 佐賀県鳥栖市議会はコロナ禍でオンラインを活用し意見交換を継続。
多様な世代との意見交換 岐阜県可児市議会ではママさん、小中高生など様々な層と意見交換を実施。
若者との連携:
藤枝市議会: 大学生とのカフェトーク。
滋賀県草津市議会: 高校生と「ハイスクールでハイなシティづくり」をテーマに政策提言。
愛知県新城市: 若者会議(行政主導だが議会も主体的に関与可能)。予算1000万円。
北海道ニセコ町: 子ども議会(行政主導)。小学4年生から高校3年生まで参加。
フリースペース型討論 犬山市議会(フリースピーチ制度)アメリカの議会を参考に。
小値賀町議会(模擬公聴会)一般質問後に休憩を挟み、傍聴者が質問や意見を述べる機会を設ける。
政策サポーター制度 飯綱市議会など、市民が政策立案やモニター活動に参加。
大学・高校との連携 大津市議会 専門性を持つ教育機関との連携。
ワークショップと総括
グループワークのテーマ
どうすれば有効な広報広聴が作れるか。
各グループからの意見・提案
鷹栖町議会の事例評価*:
インパクトがあり手に取ってもらえそう。
「通信簿」制度を取り入れたい。
ケーブルテレビで一般質問のCMを流したい。
全面的な模倣は難しいが参考にしたい部分は多い。
各議会の現状と課題*:
広報誌: 紙面作りに苦労。写真増、QRコード活用、フルカラー化、表紙デザイン変更(地元高校生のイラスト起用など)で工夫。
広聴活動: 高校生との意見交換、各種団体との連携など実施しているが、参加者の固定化や意見の反映方法に悩み。
推進の障壁: 議員間の合意形成の難しさ、リーダーシップの不在、旧態依然とした意識。
有効な広報広聴のためのポイント*:
議員全員のベクトルを合わせることが重要。
TTP(徹底的にパクる): 良い事例は積極的に取り入れる。
議会基本条例の整備が活動の基盤となる。
広報よりも広聴を先行させ、住民の意見を起点に活動を組み立てる。
委員会中心主義: 広聴で得た意見を各委員会で議論し政策サイクルに繋げる。
共働型議会: 市民(サポーター、モニター等)と共に政策や議会運営を作り上げていく姿勢。
全体総括と今後の方向性
ハードルの克服 小さな一歩からでも議会内(例: 議運)で合意形成を図り、実績を積み重ねることが全体の動きに繋がる。
対話の重要性 住民との対話、議員間の対話が広報誌改善だけでなく、議会改革の根本。
テーマ設定 広聴活動では漠然と意見を募るより具体的なテーマを設定する方が建設的な議論に繋がりやすい。
情報共有 先進事例の共有(資料、動画など)が各議会の取り組みを後押しする。
(鷹栖町) 広報広聴常任委員会の活動をさらに充実させる。
各委員会が所管の課題について広報公聴活動を行う。
議会報の発行に合わせた住民との懇談会を継続開催する。
住民の関心の高い質問について各委員会で調査研究する(例: ゴミ処理問題)。
小中学生に向けた議会だよりの発行と成果検証を継続する。
高校生とのコラボによるチラシ制作を推進する。
(大刀洗町) 議会だより作成における分担・マニュアル化を進める。
ウェブ・動画の活用を強化する。
(各議会) 鷹栖町議会や大刀洗町議会の事例(通信簿、チラシデザイン、住民との対話方法等)を参考に、自議会で可能な取り組みを検討・導入する。
広報誌の読者アンケートを実施し、改善に繋げる。
議会報告会や意見交換会において、テーマ設定やファシリテーション方法を工夫する。
委員会活動を活性化し、広聴で得た意見を政策サイクルに繋げる仕組みを構築・強化する。
若者や多様な住民層との対話の機会を増やす。
議会基本条例の制定または見直しを検討する。
-(事務局) 本日の講演資料・動画を参加者に共有する(1週間以内目途)
※以上、ローカルマニフェスト推進ネットワーク九州 代表 神吉信之氏のレポート






