「どう進める?議会DX 第一弾 議会ペーパーレス化・タブレット活用」
令和7年5月21日(水)20:00~22:00
主催:輝け!議会 対話による地方議会活性化フォーラム
開催概要
令和7年5月21日(水)にオンライン勉強会
「どう進める?議会DX 第一弾 議会ペーパーレス化・タブレット活用」が開催されました。主催は「輝け!議会 対話による地方議会活性化フォーラム」。全国から約40名が参加し、地方議会のデジタル化とタブレット活用の現状と課題について意見を交わしました。
今回のテーマ設定は、「全国の約3分の2の議会でタブレットが導入されているものの、果たして本当に有効活用できているのか?」という素朴な疑問が出発点でした。
導入していない議会には、課題解決のヒントを共有することを目的としました。
今回のゲストは事例発表者として栃木県さくら市議会前議長の福田克之氏をお迎えしました。また、西日本新聞論説委員の前田氏からも的確なコメントを多数いただきました。
導入時の課題と対応
- ITに不慣れな議員への支援として、委員会や本会議で隣にサポート役を配置する工夫が紹介されました。
- 使用基準書(運用ルール・ガイドライン)の整備が重要。
- タブレットに加え、スマートフォン・PCなど複数デバイスを併用可能とするなど、柔軟な運用が求められます。
- 完全ペーパーレスにこだわらず、紙資料を部分的に併用するハイブリッド型の対応も有効です。
タブレット活用の実践事例
- 議会ペーパーレス化と情報共有の迅速化:議員間の連絡や会議資料共有に活用。
- オンライン会議・オンライン視察の実施:災害時だけでなく、育児・介護中の議員が自宅から委員会に参加できる仕組みも。
- 市民とのオンライン対話の場:オンライン報告会、質疑応答会の開催。傍聴者がQRコードで資料を取得できる仕組みなどが紹介されました。
- ハイブリッド現地調査:現地視察とデジタル報告を組み合わせる効率的な事例も共有されました。
デジタル議会の課題と展望
- セキュリティと個人情報保護:管理ブラウザによる閲覧履歴の監視問題など、導入時の懸念も議論。
- 通信費の扱い:タブレット端末の初期費用は多くの議会で公費負担。通信費は政務活動費で賄うケースが多いが、「通信費も公費で賄うべき」と強調。「議会の必須インフラであり、公共負担が妥当」と同意しました。
- 住民参加型DX:前田氏は「デジタル空間での市民対話の場を創ることが次のステップ」と指摘。
- 実践的視点:岩﨑氏は「今日の議論の多くは、やろうと思えばすぐに実現できる」と述べ、早期実行を呼びかけました。
ワークショップとディスカッション概要
ワークショップでは、福田克之氏が栃木県さくら市議会での導入事例を15分間紹介。
その後、5人1組のグループに分かれてディスカッションを実施しました。
主な論点は以下の通りです:
- タブレット導入目的の明確化
- 定期的な運用点検の必要性
- 市民との双方向コミュニケーションの手段としての活用
- オンライン議会報告会・意見交換会の可能性
- 災害時・緊急時対応への応用
まとめと今後の展望
今回の勉強会では、「導入が目的化していないか?」という原点に立ち返り、**DXの本質は“便利さ”よりも“議会機能の進化”**にあることが共有されました。
タブレットは、単なるペーパーレスツールではなく、市民との対話を支える“民主主義の新しい道具”であるという認識が広まりました。
総括
全国の議会でDX化が進む中、実践的なノウハウを共有し合う今回のフォーラムは、
「デジタルが支える開かれた議会」を目指す大きな一歩となりました。
技術ではなく“対話”を軸にしたDXが、今後の地方政治の質を左右すると言えます。




